耳の症状を専門にする理由|現在の治療方針にたどり着くまで
なかば鍼灸院では、現在、耳鳴り・突発性難聴などの耳の症状を、特に力を入れて学び、診療している分野の一つとしています。
しかし、開業当初から耳の症状を専門にしようと決めていたわけではありません。
耳の症状を訴える患者様を診させていただく中で、同じ「聞こえにくい」「耳鳴りがする」という訴えであっても、病名、発症時期、聴力検査の結果、耳鼻咽喉科で受けている治療によって、確認すべき内容が大きく異なることを学びました。
このページでは、私が耳の症状を深く学ぶようになった理由と、耳鼻咽喉科での診断や治療を最優先にしながら、現在どのような考え方で鍼灸を行っているのかをお伝えします。
この記事でお伝えすること
- 耳の症状を深く学ぶようになったきっかけ
- 同じ耳鳴りや難聴でも、確認する内容が異なる理由
- 突然の聞こえにくさでは、耳鼻咽喉科の受診を最優先にする理由
- 聴力検査の結果を確認している理由
- 耳鼻咽喉科での治療と鍼灸を分けて考えている理由
- 現在の耳の症状に対する施術で大切にしていること
耳の症状を専門にするようになったきっかけ
なかば鍼灸院を開業した当初は、肩こり、腰痛、膝の痛みなど、一般的な鍼灸院と同じように、さまざまな症状の患者様を診させていただいていました。
その中で、耳鳴り、聞こえにくさ、耳が詰まった感じ、音が響く感じなど、耳の症状について相談を受ける機会が少しずつ増えていきました。
最初は、耳の周囲や首肩の状態を確認し、身体全体を整えるという、一般的な鍼灸の考え方を中心に施術を行っていました。
しかし、耳の症状について学び続ける中で、同じように見える症状であっても、原因や病名、必要な治療がまったく異なる場合があることを知りました。
例えば、「耳が詰まった感じがする」という訴えだけでも、耳垢、中耳の問題、耳管の問題、内耳の問題、急性の感音難聴など、さまざまな状態が考えられます。
また、「耳鳴りがする」という場合にも、聞こえの低下を伴っているのか、めまいがあるのか、片耳だけなのか、両耳なのか、いつから始まったのかによって、確認する内容が変わります。
こうした違いを確認せず、耳の周囲に鍼を行うだけでは、患者様の現在の状態を正しく捉えることはできません。
そのため、まず耳鼻咽喉科での診断や聴力検査の内容を理解することが必要だと考え、耳の病気や検査、治療について深く学ぶようになりました。
「耳の症状」として広く考えている理由
当院では、専門分野を「突発性難聴だけ」「耳鳴りだけ」と狭く分けるのではなく、耳の症状として広く捉えています。
それは、患者様ご自身が感じている症状と、耳鼻咽喉科で診断される病名が、必ずしも同じ表現になるとは限らないからです。
患者様からは、次のようなご相談があります。
- 片方の耳が急に聞こえにくくなった
- 耳が詰まった感じがする
- 耳の中で音が鳴っている
- 高い音や低い音が聞き取りにくい
- 自分の声が耳の中で響く
- テレビや人の声が割れて聞こえる
- 音が以前より大きく、つらく感じる
- 耳鳴りと一緒にめまいやふらつきがある
- 耳鼻咽喉科の治療後も耳鳴りが残っている
- 聴力は戻ったと言われたが、耳の違和感が残っている
しかし、こうした症状だけから、鍼灸院で病名を判断することはできません。
同じ「耳が詰まる」という症状でも、必要な検査や治療は異なります。
そのため、当院では患者様の訴えだけで病名を決めつけず、耳鼻咽喉科での診断、聴力検査、治療内容を確認することを大切にしています。
突然の聞こえにくさでは、耳鼻咽喉科の受診が最優先です
突然、片方または両方の耳が聞こえにくくなった場合には、鍼灸院へ先に来院するのではなく、まず耳鼻咽喉科を受診していただくことが最も大切です。
突発性難聴では、朝起きた時に聞こえにくさへ気づく場合もあれば、電話を片方の耳へ当てた時や、イヤホンを使用した時に初めて気づく場合もあります。
また、難聴だけでなく、耳鳴り、耳が詰まった感じ、音が響く感じ、めまい、吐き気などを伴う場合があります。
耳の痛みがないため、数日間様子を見てしまう方もいらっしゃいます。
しかし、急に聞こえにくくなった場合には、見た目だけでは耳の中で何が起きているか分かりません。
そのため、次のような場合には、できるだけ早く耳鼻咽喉科へご相談ください。
- 朝起きたら片方の耳が聞こえにくかった
- 電話の音が片方だけ聞き取りにくかった
- 急に耳が詰まった感じが出た
- 急に耳鳴りが始まった
- 音が割れる、響く、二重に聞こえる
- 急な聞こえにくさと一緒にめまいが出た
- 昨日まで聞こえていた音が聞こえにくくなった
- 耳鳴りだけだと思っていたが、左右で聞こえ方が違う
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「耳の病気」のページでは、突発性難聴を含む耳の病気について一般向けに説明されています。
詳しく知りたい方は、
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の病気」
も参考になります。
当院では、突然の聞こえにくさについて、鍼灸だけで様子を見ることはおすすめしていません。
まず耳鼻咽喉科で診断を受けることを大切にしています
耳鳴りや耳の詰まりがあるからといって、すべてが突発性難聴とは限りません。
耳の症状には、外耳、中耳、内耳、耳管、聴神経など、さまざまな部分が関係する可能性があります。
また、耳垢や炎症など、耳の中を診察することで確認できる問題もあります。
鍼灸院では、鼓膜の状態を詳しく診察したり、聴力検査によって聞こえ方を測定したり、画像検査や血液検査を行ったりすることはできません。
そのため、なかば鍼灸院では、耳鼻咽喉科を受診せずに、鍼灸だけで耳の症状を見続けることはおすすめしていません。
特に次のような場合には、耳鼻咽喉科への受診または再診を優先していただきます。
- 突然、聞こえにくくなった場合
- 左右で聞こえ方が違う場合
- 耳鳴りと一緒に聴力低下を感じる場合
- 強いめまい、吐き気、ふらつきがある場合
- 耳の痛み、耳だれ、発熱がある場合
- 顔の動かしにくさやしびれがある場合
- 頭痛、ろれつの回りにくさ、手足の動かしにくさがある場合
- 症状が急速に悪化している場合
- 耳鼻咽喉科での診断を受けていない場合
- 治療中に聞こえ方がさらに悪化した場合
耳鼻咽喉科でなければできない診察、聴力検査、診断、投薬治療があります。
鍼灸だけで耳鼻咽喉科の診察や治療の代わりができるとは考えていません。
聴力検査の結果を確認している理由
耳の症状では、患者様が感じている聞こえ方だけでなく、聴力検査の結果を確認することが大切です。
患者様ご自身では、「ほとんど聞こえない」と感じていても、すべての高さの音が同じように低下しているとは限りません。
反対に、日常会話は聞き取れていても、特定の高さの音だけが低下している場合もあります。
聴力検査では、どの高さの音が、どの程度聞こえにくくなっているのかを確認できます。
当院では、可能な範囲で、耳鼻咽喉科から受け取った聴力検査の結果を確認させていただいています。
確認する主な内容は、次のとおりです。
- 右耳と左耳のどちらに変化があるのか
- 低い音、中くらいの音、高い音のどこに変化があるのか
- 発症時と現在で聴力がどのように変化しているのか
- 左右差がどの程度あるのか
- 前回の検査から改善しているのか、悪化しているのか
- 耳鼻咽喉科でどのような説明を受けたのか
聴力検査の結果を見せていただく目的は、鍼灸院で診断をするためではありません。
現在の状態をできるだけ正しく理解し、耳鼻咽喉科での治療経過を妨げないように施術を行うためです。
検査結果をお持ちでない場合には、患者様が耳鼻咽喉科で説明された内容を、分かる範囲でお聞かせください。
同じ聞こえにくさでも、病名や経過は一人ひとり異なります
耳の症状は、すべて同じ経過をたどるわけではありません。
突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、メニエール病、中耳炎など、病名によって耳鼻咽喉科で行われる治療も異なります。
また、同じ病名であっても、発症からの期間、聴力低下の程度、めまいの有無、これまでの治療経過によって状態は異なります。
そのため、「知り合いはこの薬ですぐに治った」「別の人は鍼灸でよくなった」という情報だけで、ご自身の経過を判断することはできません。
耳の症状では、次のような違いを確認する必要があります。
- 突然発症したのか、少しずつ進んだのか
- 片耳だけなのか、両耳なのか
- 初めての症状なのか、以前にも繰り返しているのか
- 耳鳴りだけなのか、聴力低下もあるのか
- めまいや吐き気があるのか
- 耳鼻咽喉科でどのような病名を説明されたのか
- どのような薬や治療を受けているのか
- 聴力検査の結果がどのように変化しているのか
当院では、病名だけで施術内容を決めず、現在の経過を確認しながら、その日の施術内容を考えています。
耳鼻咽喉科での治療と鍼灸を混同しないこと
なかば鍼灸院では、耳鼻咽喉科で行うべき診察や治療と、鍼灸でお手伝いできることを分けて考えることを大切にしています。
耳鼻咽喉科では、耳の中の診察、聴力検査、必要に応じた画像検査や血液検査、投薬治療などが行われます。
どの病気に該当するのかを診断し、どの治療が必要なのかを判断するのは医師です。
鍼灸院では、病名の診断、お薬の変更、耳鼻咽喉科治療の中止を判断することはできません。
そのため、当院では耳鼻咽喉科での治療を継続していただきながら、現在の聞こえ方、耳鳴り、めまい、首肩の状態などを確認し、鍼灸を併用する形を基本としています。
耳鼻咽喉科の治療を否定して、鍼灸だけに切り替えていただくことはありません。
また、耳鼻咽喉科での治療が必要な時期に、鍼灸だけで様子を見るよう勧めることもありません。
患者様にとって必要な医療を受けていただきながら、鍼灸でどのような身体のサポートができるのかを考えることが、当院の役割だと考えています。
発症したばかりの時期と、症状が残っている時期を分けて考えます
耳の症状では、発症からどのくらい経過しているのかが重要です。
突然聞こえにくくなった直後と、耳鼻咽喉科での治療を受けた後も耳鳴りや違和感が残っている時期では、確認する内容が異なります。
発症したばかりの時期には、まず耳鼻咽喉科で必要な診察や治療を受けているかを確認します。
まだ耳鼻咽喉科を受診していない場合には、鍼灸よりも先に受診をおすすめします。
耳鼻咽喉科で治療を開始している場合には、病名、発症日、聴力検査の結果、処方されたお薬、次回の受診予定を確認します。
その後、聴力の変化や耳鳴り、耳の詰まり、音の響き方などを確認しながら、施術内容を考えます。
耳鼻咽喉科での治療が終わった後も症状が残っている場合には、現在の聴力がどの程度安定しているのか、再検査の予定があるのかを確認します。
「治療が終わった」と「完全に症状がなくなった」は、必ずしも同じではありません。
そのため、発症からの期間だけでなく、現在どの段階にあるのかを確認することを大切にしています。
耳の症状に対する鍼灸で大切にしていること
耳の症状に対する鍼灸では、耳の周囲だけに施術を行えばよいとは考えていません。
まず、現在の症状と耳鼻咽喉科での治療内容を確認します。
- 症状が始まった日
- 突然始まったのか、少しずつ始まったのか
- 右耳、左耳、両耳のどこに症状があるのか
- 耳鳴り、聞こえにくさ、耳の詰まりのどれがあるのか
- めまい、吐き気、ふらつきがあるのか
- 耳鼻咽喉科で説明された病名
- 聴力検査の結果
- 現在使用しているお薬
- 次回の耳鼻咽喉科受診予定
- 首肩のこり、頭痛、顎周囲の違和感
- 睡眠や疲労の状態
こうした内容を確認した上で、その日の身体の状態に合わせて施術内容を考えます。
耳の周囲へ強い刺激を繰り返すのではなく、患者様の反応を確認しながら、刺激量を調整します。
症状が片耳に出ている場合でも、耳の周囲だけでなく、首、肩、顎、頭部周囲などの状態を確認することがあります。
前回と同じ施術を、そのまま毎回繰り返すわけではありません。
耳鼻咽喉科での検査結果や、患者様が感じている変化に応じて、施術する位置や刺激量を見直します。
耳だけでなく、首・肩・顎周囲も確認します
耳の症状がある患者様の中には、首肩のこり、後頭部の緊張、頭痛、顎の違和感、食いしばりなどを感じている方もいらっしゃいます。
ただし、首や肩がこっていることだけが、耳鳴りや難聴の原因だと考えているわけではありません。
また、首肩を施術すれば、すべての耳の症状が改善すると考えているわけでもありません。
当院では、耳の周囲へ施術を行う前に、首や肩の動き、筋肉の緊張、顎周囲の状態、頭部周囲の状態を確認します。
患者様によっては、耳の後ろ、こめかみ、顎の周囲、首の付け根などに強い緊張がみられることがあります。
こうした部分を確認し、その日の状態に応じて、低刺激の鍼や刺さない小児鍼などを使用します。
耳の周囲へ最初から強い刺激を加えるのではなく、患者様の反応を確認しながら、少しずつ施術を進めることを大切にしています。
聞こえ方や耳鳴りの変化を記録する理由
耳の症状は、目で見て変化を確認することが難しい症状です。
日によって症状の感じ方が変わることもあり、前回と比べて改善しているのか、悪化しているのかが分かりにくくなる場合があります。
そのため、当院では、患者様が感じている変化と、耳鼻咽喉科で行われた聴力検査の結果を分けて確認します。
患者様には、必要に応じて次の内容を伺います。
- 耳鳴りの大きさや音の種類が変化したか
- 耳の詰まりが軽くなったか、強くなったか
- 電話やテレビの音が聞き取りやすくなったか
- 人の声が響く、割れる感じが変化したか
- 静かな場所と騒がしい場所で聞こえ方が違うか
- めまいやふらつきが変化したか
- 左右の聞こえ方に変化があるか
- 耳鼻咽喉科の聴力検査がどのように変化したか
患者様が感じる変化は大切ですが、それだけで聴力が改善した、または悪化したと判断することはできません。
聞こえ方に大きな変化があった場合には、耳鼻咽喉科での再検査をおすすめします。
耳鳴りだけに意識が集中し過ぎないようにします
耳鳴りは、周囲に同じ音が聞こえていないため、患者様ご本人にしか分からないつらさがあります。
静かな場所や就寝前に強く感じたり、疲労や睡眠不足によって気になりやすくなったりする方もいらっしゃいます。
耳鳴りが続くと、何度も音を確認したり、昨日より大きくなっていないかを気にしたりすることがあります。
しかし、耳鳴りを一日に何度も確認し続けることで、かえって音へ意識が集中してしまう場合があります。
当院では、耳鳴りを無視するようお伝えするのではなく、耳鼻咽喉科で必要な検査を受けた上で、生活への影響を確認します。
- 眠れないほど耳鳴りが気になるのか
- 仕事や会話へ集中できないのか
- 静かな場所だけで気になるのか
- 一日中強く感じるのか
- 聞こえにくさも一緒にあるのか
- めまいやふらつきを伴っているのか
耳鳴りの音だけでなく、睡眠、疲労、首肩の状態、日常生活への影響も含めて確認し、施術内容を考えます。
お子様の聞こえ方で大切にしていること
お子様は、大人のように「右耳の高い音が聞こえにくい」「耳が詰まっている」と詳しく説明できないことがあります。
呼びかけへの反応が悪い、テレビの音が大きくなった、聞き返しが増えたなど、周囲の方が変化に気づく場合もあります。
また、耳の痛みがなくても、中耳の状態などによって聞こえに影響が出る場合があります。
そのため、お子様の聞こえ方に変化を感じた場合には、鍼灸院で様子を見るのではなく、まず耳鼻咽喉科を受診していただくことが大切です。
当院では、耳鼻咽喉科での診断や治療内容を確認した上で、鍼灸でお手伝いできることがあるかを考えます。
お子様が鍼を怖がっている場合には、最初から無理に鍼を使用しません。
刺さない小児鍼を使用したり、使用する鍼の本数を少なくしたりしながら、安心して受けられる方法を考えます。
耳の症状を生活習慣だけの問題にしないこと
耳鳴りや聞こえにくさが出ると、睡眠不足、疲労、食事、仕事、音楽、イヤホンなど、日常生活のすべてが原因ではないかと心配になることがあります。
生活上の状況を確認することは大切ですが、原因を自己判断し、耳鼻咽喉科の受診が遅れてしまうことは避けなければなりません。
「疲れているだけだろう」「肩こりのせいだろう」と考えて様子を見ている間に、治療が必要な耳の病気が隠れている可能性もあります。
まず耳鼻咽喉科で必要な診察を受け、その上で、睡眠不足や疲労、首肩の負担など、無理なく見直せることを考えることが大切です。
当院では、患者様の生活を細かく責めるのではなく、現在困っていることを伺い、身体の負担につながっている可能性があるものを一緒に確認します。
ただし、生活を整えたり、首肩を施術したりすることで、難聴や耳鳴りが必ず改善すると断定することはありません。
通院回数を最初から一律には決めていません
耳の症状の経過は一人ひとり異なります。
そのため、すべての患者様へ同じ通院回数や期間をお伝えすることはできません。
発症したばかりで耳鼻咽喉科の治療を受けている時期と、聴力が安定した後も耳鳴りや違和感が残っている時期では、必要な確認の間隔も異なります。
また、耳鼻咽喉科の受診予定、仕事、ご家庭の事情によっても、通院できる間隔は変わります。
当院では、必要以上の通院を勧めず、耳鼻咽喉科の治療予定や患者様の生活に合わせて通院時期を考えます。
症状に大きな変化がない状態で、短い間隔に何度も来院していただく必要はない場合もあります。
反対に、急に聞こえが悪化した場合や、新しいめまい、耳の痛み、神経症状などが出た場合には、鍼灸の通院回数を増やすことよりも、耳鼻咽喉科や医療機関への受診を優先していただきます。
現在の耳の症状に対する施術で大切にしていること
耳の症状について学び続ける中で、現在の施術では、次のことを大切にするようになりました。
- 突然の聞こえにくさでは、耳鼻咽喉科の受診を最優先にすること
- 耳鼻咽喉科で説明された病名や治療内容を確認すること
- 可能な範囲で聴力検査の結果を確認すること
- 耳鳴り、難聴、耳の詰まりを同じ症状として扱わないこと
- 発症時期と現在の治療段階を確認すること
- 耳の周囲だけでなく、首・肩・顎周囲の状態も確認すること
- 患者様の症状や不安に合わせて刺激量を調整すること
- 耳鼻咽喉科での治療を否定しないこと
- 鍼灸で対応できる範囲と、できない範囲を分けて考えること
- 必要以上の通院を勧めないこと
耳の症状は、外から見ても状態が分からず、患者様ご本人の不安が強くなりやすい症状です。
すぐに結果を求めたいお気持ちは当然だと思います。
しかし、耳鳴りや聞こえ方を一日に何度も確認し、そのたびに一喜一憂すると、患者様の負担がさらに大きくなることがあります。
当院では、患者様が感じている変化だけでなく、耳鼻咽喉科での診察結果や聴力検査も確認しながら、少し長い経過の中で状態を見ていくことを大切にしています。
同じ耳の症状でも、施術内容は一人ひとり異なります
耳鳴りや聞こえにくさという症状が同じでも、患者様の状況は一人ひとり異なります。
- 突然、片耳が聞こえにくくなった方
- 低い音だけが聞こえにくい方
- 高い音だけが聞こえにくい方
- 耳鳴りが主な症状の方
- 耳の詰まりを強く感じている方
- めまいやふらつきを伴っている方
- 耳鼻咽喉科で治療中の方
- 耳鼻咽喉科での治療後も症状が残っている方
- 以前にも同じような症状を繰り返している方
- 音が響く、割れるなどの違和感がある方
発症からの期間、聴力検査の結果、耳鼻咽喉科での治療内容、鍼への不安、生活状況も異なります。
そのため、最初から決められた施術を全員へ同じように行うのではなく、現在の状態を伺いながら施術内容を考えています。
「鍼灸だけですべてが解決する」とは考えていません
私は、鍼灸だけですべての耳鳴りや難聴が改善するとは考えていません。
耳鼻咽喉科でなければできない診察、聴力検査、診断、治療があります。
医師へ確認しなければ分からないこともあります。
鍼灸師として分からないことを、分かったように説明することも避けなければなりません。
だからこそ、次の内容を分けて考えることを大切にしています。
- 耳鼻咽喉科で行うこと
- 患者様から医師へ確認していただくこと
- 鍼灸院で確認すること
- 鍼灸でお手伝いできること
耳鼻咽喉科での治療を継続しながら、現在の聞こえ方、耳鳴り、身体の状態、患者様の負担を確認し、治療の妨げにならないように鍼灸を行うことが、なかば鍼灸院の耳の症状に対する基本的な考え方です。
まとめ|耳鼻咽喉科での治療を大切にしながら行う鍼灸
なかば鍼灸院が耳の症状を専門分野の一つとするようになった背景には、耳鳴りや聞こえにくさを訴える患者様を診させていただく中で、耳鼻咽喉科での診断、聴力検査、治療内容を理解する必要があると考えるようになったことがありました。
耳の症状は、単に耳の周囲だけを見ればよい症状ではありません。
同じ耳鳴りや聞こえにくさであっても、病名、発症時期、聴力低下の程度、めまいの有無、これまでの治療経過によって、必要な対応は異なります。
そのため、当院では、耳鼻咽喉科での診断や治療と、鍼灸でお役に立てる部分を混同しないことを大切にしています。
耳鼻咽喉科での治療内容や聴力検査を確認し、耳の周囲だけでなく、首・肩・顎周囲の状態や患者様の体調も確認しながら、一人ひとりに合わせた施術を考えてまいります。
また、突然聞こえにくくなった場合や、急な悪化、新しいめまい、顔や手足の動かしにくさなどが現れた場合には、鍼灸だけで経過を見ず、医療機関への受診を優先していただきます。
耳の症状に対する鍼灸をご検討の方へ
耳鼻咽喉科で受けている治療内容や、これまでの症状の経過を伺いながら、鍼灸でお手伝いできることを一緒に考えます。
初診時には、分かる範囲で構いませんので、症状が始まった日、耳鼻咽喉科で説明された病名、聴力検査の結果、現在使用しているお薬、これまでの治療内容をお聞かせください。
聴力検査の結果をお持ちの場合には、初診時にご持参ください。
まだ耳鼻咽喉科を受診されていない場合や、突然聞こえにくくなった場合には、先に耳鼻咽喉科の受診をご案内します。

